エクアドルと聞いて、アマゾンを思い浮かべる人は少ないと思いますが、
実はエクアドルにはアマゾン川の源流があるのです。もう一月以上前になりますが、長女ムユの冬休み(2月前半)に合わせて、
念願のアマゾン地方にある、ヤスニ国立公園に行ってきました。
なぜ、ヤスニに行こうとしたかと言うと、これは国際関係や
環境に詳しい人しか知らないと思うのですが、ヤスニITTイニシアティブ
というプロジェクトが行われる予定の地だからです。
エクアドルは石油でなんとかもっているような国ですが、
先日の大統領選挙でも圧勝したコレア大統領が以前打ち出したのは、
このヤスニの一部の石油を抽出しない代わりに、エクアドルがここの
石油開発によって得られるであろう利益の半分を国際社会に
もってほしいというもの。
これから13年の間、8億4600万バレルの石油(収入換算では、
72億米ドル以上)の半分である36億ドルを国際社会に
協力してもらえれば、永久に掘削をしないという素晴らしいプロジェクトです。
これまで、採掘した後で、自然の修復を促すような、あるいは補償
するようなプロジェクトはあったものの、「掘削しない」というのは、
石油の輸出が総輸出額の三割近くを占めている国の政府としては
かなり勇気がいることだと思うのです。
そもそも石油をたくさん使うのは誰か?ということを考えれば、
それはほとんど工業国あるいは先進国だと思います。エクアドルとしては
それらの国々、あるいは企業に責任があり、それらの国々に、自然を
保護しようと言われても、首は縦に振れないのもわかる。エクアドルだって、
それで国を動かしているのだから、やめてどうするという話でもある。
だからその先進国と呼ばれる国々を代表とする国際社会に責任をとって
もらいたいというのは、一瞬びっくりしますが、よくよく考えると
至極真っ当な話だと思うのです。
これによって、
* アマゾンの大規模伐採を防ぐことで空気や水質を保つとともに、
多様な生態系を守る。
* 抽出作業そのものと抽出した石油を使うあらゆる活動による
二酸化炭素排出を抑えることで4億7000万トンのCO2の排出を削減する。
* 都市部とのコンタクトを断った先住民族の文化や生活圏を破壊しない。
ことがのぞめます。
そして、その国際社会から得たお金で、教育、保険、職業訓練、
技術支援など、持続可能な経済活動により貧困をなくすという目標まで
掲げています。
もう言うコトなし!…かどうかはまた少しずつ書いていきますが、
とにかくヤスニは、そういうわけで、私の中ではホットな場所。
アマゾンはこれまでに何度か行ったことがありますが、
ヤスニには行ったことがない。ヤスニ(Yasuní)とグーグルすれば
世界で最も生態系の多様性に優れている、
ヤスニの1ヘクタールには北米全部合わせた面積に存在する生物が存在している、
UNESCOの生物圏保護区に指定されている、云々
と出ます。やっぱりそれはやっぱりすごいこと。自分も見てみたいし、
毎年一回はエクアドルの美しいところに子どもたちを連れていくことを
公約に掲げているので(?)、なんとか連れて行きたい。
しかし、アマゾンへの旅行は基本的に高い。だから行きたい、
でも高い、そして遠いというのがずっと足かせになってきましたが、
しかし日本のNGOの駐在員(?)としてエクアドルにいるのに、
行かない、日本にいるのと同じ程度の情報しか手に入らない
と言うのは、非常に、なんというか、やるせないというか、
こりゃいかんだろう!ということで、かなり思い切って行って参りました。
思い切って、というのはお金の面ももちろんあるのですが、
時間です。農園をやっている=生き物を扱っているので、留守にすると
動物は飢えるし、野菜たちもケアができません。二泊やそこらならば
留守にしても大きな問題はありませんが、一週間以上となると…。
と言っても、行くだけでも丸々二日かかるとなると、行くだけ四泊、
それで現地滞在をどんなに短くしても四泊(それ以下だとそれだけの
時間をかけて行く価値なし)。すると八泊九日!動物のえさやりと最低限
苗床の水やりは誰かにお願いできても、野菜の種を蒔いたり、
草刈りや水まきをしたり、さらには収穫(収穫しないとダメになる
野菜もあり、そのままにしておくと次が生えてこないことも)
なんて頼めません。私のパートナーのエクトルにとっては、
か〜なり渋るところ…。
おまけに、収穫しない=売れない=収入なし、と直結しているので、
これまた悩むところです。零細農家には、有給なんてありえないのです!
でも、土下座して(?)頼み込んで、行ってきました!
まずは、コタカチからキトまで2時間、そしてキトからコカという
アマゾン地方の大きな町まで8時間。さらに、そこから船で12時間。
なんのために行くのか忘れそうになる距離。たどり着くまでに
飛行機やスピードボートを使えば早いのですが、お金もないし、
リッチな旅がしたいわけでもない。ゆっくり、現地の人のペースで行く。
そうすれば、ヤスニの全体像が見えるのではないかと思いました。
↑夕暮れのアマゾンのナポ川。
>>続く。
(前回からの更新に1ヶ月以上経っていますが、今度は
もっと早く更新がんばります!)
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